カイロ(エジプト)

要注意ガバメントに降参

ダシュフールの屈折ピラミッドを見学した後、サッカーラのピラミッドへと急いだ。途中のサッカーラ街道には観光用のカーペットスクールの看板が数多く並んでいる。名前はスクールだが、朝に立ち寄ったパピルス博物館と同じように実演販売しているだけのようだ。要注意ガバメントは、遠慮がちに

サッカーラの階段ピラミッド

「あれはじゅうたんスクール、ちょっと寄って行かないか」と予想通り話しかけてきた。私は

「一切何も買わないよ。今後この話をしたらタクシーを降りる」と抗議した。

「OK、もう話さない。あなたハッピーなら私もハッピー」何とか気持ちが通じたらしい。

「ところで香水びんは要らないか?」このやろ。ぜんぜん分かっていないのか。

さて、このサッカーラの階段ピラミッドは、名前の通り6段の階段になっており、周りの墳墓にはすばらしい装飾の部屋が数多く残っていた。これらが何世紀も前に描かれたものとは思えないほどであった。

馬に乗って遠くから望むピラミッド

途中で、ガバメント御用達だと勧められたレストランで遅い昼食を食べ、残すは最大の観光地「ギザのピラミッド」のみとなった。2時間ほどで、遠くにピラミッドが見えだし、そしてタクシーはスフィンクス側の入口に着いた。カメラを持って車を降りようとすると、

「今日はもう遅い。入口は閉まっている。でもあなたはラッキー、馬に乗れば入れる」

「いや、そんな事はない。ウソだ!まだ、明るいではないか。とりあえず入口まで行ってみる」

「ガイドブックをみろ。5時で閉店だ。でも馬に乗れば中まで連れて行ってもらえる。俺はガバメントだ。信用しろ」

ガイドブックで確認すると反対側の入口は6時だが、こちらのスフィンクス側は5時と書いてある。そして、馬に乗れば入場料の20ポンドは要らず、馬代の40ポンドだけですむと言う。一番楽しみにしていたピラミッドが目の前にあるのに見られないとは、このまま帰る訳には行かない。ここは馬に乗る策略にはまるしか手はなさそうだ。後で思えば、ここに来るまで何回も時間を聞かれたが、こんなからくりがあろうとは思わなかった。ダシュフールやサッカ−ラでは、時間をかけて見物しても文句を言わなかった。そしてランチは1時間以上かけて食べた。全てがここに5時に到着する策略だったのだ。

夕日で赤く染まるピラミッド

40ポンドの内、何ポンドが要注意ガバメントに渡されるのであろう。30分もかけた値下げ交渉は全く歯が立たなかった。早くしないと日が落ちピラミッドが見えなくなる。エジプトに来て初めて向こうの言い値で折れた。

馬に乗るのは初めてであったが、調教されており自分の思うとおりに歩いてくれた。入場料はタダだと言っていたが、それは500m程先の裏道から回り込んで内緒でこっそり入るだけの事だ。ただし、一般人は入れない。なぜか警察がちゃんと門番をしているのだ。約1時間かけていろんな角度からピラミッドを眺められる。遠くから眺めるピラミッドは、この秘密通路を通らないと見られないようだ。40ポンドは少し高いが、まずまず満足であった。

次の日、やはり近くから見たい一心でローカルバスに揺られ、カイロからピラミッドまでやって来た。バス賃は25ピアストル(0.25ポンド=8円)と昨日のタクシーと比べ物にならない程安い。(ただし、ひげの生えたような元祖アラビア数字を読めないと乗り込めない)バス停を降りたが、朝霧がのようなモヤがかかっていてピラミッドの方向が分からない。「入口はあっちだ」と何人にも聞きながら進んだ方向は、昨日見た事のある風景。再度、正直そうな顔の人に、「入口はどっちだ」と聞くと全く反対方向。この村では、全員がグルになって何とか馬に乗せようとしている。危うくまたもや馬に乗せられるところであった。

文 写真   寺島 


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